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第221回学習会記録


日時:2014年11月21日(金)18:30〜20:00
参加者:9名
内容:「図書館員によるオープンコンテンツの創造〜ししょまろはんの取組みから〜」
発表者:京都府立図書館 是住 久美子

1.「ししょまろはん」について
・京都府立図書館で働く図書館司書の職場内学習グループで、業務外に活動している。
・メンバーは16名。正規職員、非常勤職員ほぼ半数ずつの構成。2013年6月に結成された。
・京都府の自己学習活動支援事業を利用し、助成金を受けている。
・ホームページは「ししょまろはんラボ」http://libmaro.kyoto.jp/ ツイッターは @shisyomaro_han
・メンバーがデザインしたキャラクターは、京都府立図書館のシンボルマークである銀杏の葉を逆さにした形で、名前は「ししょー 」と「まろー」でししょまろ。

活動内容
・「京都が出てくる本のデータ」「図書館員が調べた京都のギモン 京都レファレンスマップ」等、オープンデータを作成して公開。
・イベント「京都まち歩きオープンデータソン」に協力している。

2.オープンデータとは 
・二次利用が可能な利用ルールで、Web上に公開されたデータのこと。機械判読に適しているデータ形式が望ましい。
・データ形式はLinked Dataの創始者でもあるティム・バーナーズ・リーによって、次のような5つ星スキームが提案されている。
・☆ PDF、☆☆ EXCEL、☆☆☆ XML/CSV、☆☆☆☆ RDF、☆☆☆☆☆ Linked RDF
<参考URL> http://5stardata.info

3.クリエイティブコモンズ(CC)ライセンスについて
・著作物は、著作権がある状態(C)(全ての権利の主張)と、保護期間の終了または、権利が放棄されている(PD)(全ての権利の放棄)状態のふたつに分けられる。
・CCライセンスは、この間の権利の選択肢を6種類に分けたもので、マークを付けて公開することによって、作者は利用条件についての意思表示ができる。
・6種類のうちオープンライセンスと言えるのは"CC-BY(作品のクレジットを表示する)" "CC-BY SA(クレジットを表示し、改変した場合は同一のライセンスで配布)"で、それに"CC-0(ゼロ)(パブリックドメイン)"を加えた3種類と言われていて、ししょまろはんが作成しているデータは、CC-BYを採用。

4.オープンデータ 国内の動き
・2012年7月 電子行政オープンデータ戦略の策定。オープンデータ流通推進コンソーシアム設立。
・2013年6月 世界最先端IT国家創造宣言に続き、G8サミットにおける「G8オープンデータ憲章」の合意に至る。12月、データカタログサイト施行版「DATA.GO.JP」開設。
・2013年のオープンデータインデックス(オープンガバメント進捗度)、日本は27位だった。
(最近公表された2014年の順位では日本は19位)

5.オープンデータ 自治体の動き
・日本のオープンデータ都市一覧によると、オープンデータ都市数は67。オープンデータ県率は59.5%(28県)(12月20日現在)
・福井県鯖江市、横浜市などが先行している。京都はゼロ。
・OpenGLAM JAPAN:文化機関が持つ情報資源をオープン化する動きもあり、2013年に設立された。
・Europeana:欧州の図書館や博物館、美術館等2000以上の文化施設が持つ所蔵物のデータを一括検索できるポータルサイト。
・京都府立総合資料館が、東寺百合文書Webを画像データ、解説文あわせてCC-BYで公開した。そのことが評価され、今年のLibrary of the Yearを受賞している。

6.ししょまろはんとオープンデータ
・2013年4月にオープンデータ京都勉強会に参加し、オープンデータの概念を知る。
・ししょまろはんでやりたいことの一つに、京都が出てくる文学作品などのデータを集めてリストにし、Webで公開したいというのがあった。
・京都市東山図書館で東山区が出てくる文学作品を集めた冊子を配布しており、その府域版を作りたいとの思いがあった。
・勉強会、オープンデータ京都実践会等を経て、2014年2月LinkData.orgのサイトで「京都が出てくる本のデータ」を公開。

7.京都が出てくる本のデータ(2014.11.21現在、201件)
・1作品につき1ヶ所京都のスポットを選んで、位置データ(緯度・経度)と書誌情報等を登録し、オープンデータとして公開。
・作品はメンバーが読んで登録を行う。Googleのスプレッドシートを共有してデータを蓄積。
・タイトル数は、小説43、ライトノベル6、マンガ52、ミステリー84。ミステリーの中では、山村美沙作品をピックアップしたデータも作成中。
・データは書誌情報の他、ししょまろはん作成のおすすめ度と内容紹介、Web NDL Authoritiesより著者名の典拠URIを付けている。
・LinkData.orgの機能を使い、ファイル形式のデータをRDF形式に変換し、クリエイティブコモンズライセンスCC‐BYで公開しており、現在1200回以上ダウンロードされている。
・スマホ用アプリ「ご当地なび」のコンテンツになった。
・作品に出てくるスポットの位置情報があるので、登録されていればGoogleMapのストリートビューが表示され、現在地からの経路案内も可能。

8.図書館員が調べた京都のギモン 京都レファレンスマップ(2014.11.21現在、162件)
・NDLのレファレンス協同データベースに登録されたデータの中から、京都に関する事例をピックアップし位置情報等を付与している。
・レファ協データはオープンデータではないのでURLと質問文を引用し、地名、緯度・経度等の他、DBPediaURI(Wikipediaの情報を変換しLinked Dataとして使えるようにしたもの)を登録。
・司書としてはこちらのデータも面白いと感じているが、レファレンスという言葉が一般の人には馴染みが薄いためか「京都が出てくる本のデータ」ほど注目されていない。

9.京都まち歩き オープンデーターソンへの協力
・歴史的な場所や観光スポット等、まち歩きして得た情報をオープンデータにするイベント。
・まちの情報を編集する「Wikipediaタウン」や、まちの地図をつくる「OpenStreetMapマッピングパーティー」を行っている。
・ししょまろはんは地域情報の調べ方、図書館の使い方、著作権についてのレクチャーや関連資料の提供を行っている。
・今年は主に京都府立図書館を会場に開催している。(次回は12月7日)

10.今後の目標
・ししょまろはんとして:地域版を作ってくれる人が出てくれば、データの作り方や公開の仕方について協力したい。
・京都府立図書館の職員として:少しでも図書館のOpen化が進むような働きかけをしたい。
・比較的取り組みやすいのは、図書館自体の情報、統計や写真等か。
・パスファインダーのように、職員が作成したコンテンツは広く使ってもらいたいという気持ちで作成されたはずなので、CCライセンスを付けて公開できないか。

<質疑応答>
Q:RDFを開くにはソフトが必要なのか。
A:特に必要ない。メモ帳などで開くことが出来る。クエリ言語であるSPARQLという言語で抽出される。
例えば、NDLサーチの検索結果もRDF形式でダウンロードができるがテキストでも見ることが出来る。

Q:ししょまろはんラボのWebページから入って「京都が出てくる本のデータ」を開く。これをどう使うか。
A:公開しているデータを見るというよりは、アプリ等で二次活用してもらうことが目的。

Q:「5.オープンデータ 自治体の動き」で京都はオープンデータが0となっているが?
A:京都府内の各自治体で統計データなどを公開しているが、自由に利用可能なオープンデータとしてポータルサイトなどで提供している自治体がまだ無いので0となっていると思われる。京都市や京都府はオープンデータの実証実験は行っている。
アメリカでは大統領令があり、政府機関が作成したデータは基本オープンデータとして公開するよう義務付けられている。日本はまだ利用者側から見れば「データを出してもらっている」という感じが強い。

Q:第16回図書館総合展での発表について。
A:第3回OpenGLAM JAPANシンポジウム "オープンデータ化するアーカイブの現在"で、15分程ししょまろはんの取り組みについて話した。
シンポジウムの後では、「やってみたい」「どうやっているのか」といった質問や、自己学習グループに対する賛同の意見をもらった。

Q:指定管理や業務委託等でスタッフの立場が違ってくると、こういった活動を続けるのは難しいのでは。
A:現在16名のメンバーがいるが、全員が積極的に活動しているわけではない。
非常勤の職員は図書館司書の採用試験等があると、試験勉強を優先してもらっている。
自分が協力できることを無理のない範囲で参加している。たとえば、京都が出てくる本のデータのために1冊本を読んで登録するなど。
カレントアウェアネスやはてなブックマークニュースで取り上げられたことや、スマートフォンのアプリになったことが、モチベーションアップにつながった。

Q:北摂アーカイブスはオープンデータが話題になる前からデータの二次利用について明記してデータを公開していたが、最近の状況はどうか(第173回図書館情報学学習会 2010.5.20「北摂アーカイブスについて」参照)
A:(北摂アーカイブスを担当された西口さん)CCライセンスにしたかったが、現在の利用条件で良いという意見が多く、今のような形で公開している。学習会発表後の動きは、職員はブログを立ち上げる等のきっかけをつくったが、フェイスブックを始めたりと、後に続く活動は市民が軌道にのせてきた。
色マンホールの記録といった取り組みも始まり、下水道局のデータを活用するなど、役所との連携も進めている。

Q:オープンストリートマップ(OSM)はどうやって作成しているのか。
A:ほとんどの主要な道路はすでに登録してあるので、空中写真の画像をトレースして建物の形を登録したり、GPS機能付の端末を携帯し、実際の場所を移動しながらマッピングしたり、紙にOSMの地図を打ち出して、書き込んだものを後でパソコンで登録したりしている。地域によって多くの地物が登録されているところと、ほとんど登録されていないところがある。
ししょまろはんラボで公開している「京都岡崎周辺の郵便ポスト・郵便局マップ」もOSMを利用している。
GoogleMapsはライセンス条件が厳しい。無許可でにプリントアウトして配布することは禁じられている。

Q:オープンデータで先行している鯖江市の取り組みについて。
A:熱心な職員がいて、首長の理解がある自治体が先行しているようだ。鯖江市は地元の民間企業とも連携して、様々な取組みを行っている。例えば、図書館の自習席の空き状況がわかるアプリを高校生と一緒に作成したり、横浜市では芸術や文化関連のイベント情報をオープンデータ化し、地図上で現在開催されているイベントを表示出来る取組みなども行っている。 

Q:「ししょまろはん」の名称について。
A:京都府のPRキャラクター「まゆまろ」も意識し、司書の集まりなので「ししょまろ」、そして京都らしく「○○はん」と名付けた。自己学習グループ発足当時に、研修生として府立図書館に勤務し、メンバーにもなってくれた府立高校の司書が命名してくれた。




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