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学習会記録(第211回)


日時:平成25年12月19日(木)
参加者:16名
内容:「「まいまい京都」について」
発表者:以倉 敬之(京都ミニツアー「まいまい京都」)

■「まいまい京都」ホームページ (http://www.maimai-kyoto.jp/)
■「まいまい京都」とは
・「まいまい」とは「うろうろする」という意味の京ことば。京都の住民がガイドするツアーである。100人以上のガイドがいる。
・1回のコースは、時間は2〜3時間、歩く距離は1.5km〜3kmくらい。定員は15名。定員数はガイドとコミュニケーションがとれる人数の上限がこれぐらいのため。
・終了後、ガイドの誘いで参加者とお茶や昼食をとることもある。
・ツアー参加がきっかけで2組のカップルが結婚した。
・参加費は一人2千円(ツアーによって変わることもある)。

■ガイドについて
・ガイドが自分の仕事(例えば棟梁なら建築物)を案内する事が多い。プロのガイドではないため、普段は別の仕事などをしていて空いた時間にガイドをしてもらう。
・また、自分の趣味をガイドする人もいる。例えば廃線マニアや風呂屋のタイル(開店前に見学する。入浴券付き)。
・ガイド料は参加費の総額(一人2000円×15人程度)の半分で1万5千円くらい。公務員などの理由で受け取りを辞退する人もいる。
・ガイドには、思い入れと愛を語っていただくようお願いしている。どれだけ自分がそのことを好きなのか語ってもらい、その愛が参加者に伝搬すれば最高。
・ツアーは、事務局が企画してガイドを探すことはせず、まずガイドありきで企画する。

■ツアーについて
・「【東七条】 部落史研究者と歩く、首切り又次郎の生きた時代」ツアーではタブーにされがちなテーマだが、参加者が差別と向きあうきっかけになった。研究者や地元の人に案内してもらうことで、タブー視すること自体が差別を助長していることに気付いた。
・「【宮川町】芸妓さん舞妓さんとお茶屋遊び入門」ツアーでは、通常の参加費(2000円程度)よりも高い23,000円だったが、すぐ満員になるほど人気だった。
・京都市動物園の飼育員による園内ツアーや、月桂冠のバイオサイエンス研究員による施設見学なども行った。
・京都府立総合資料館や京都市美術館、京都国立近代美術館など公共施設のイベントも増えた。文化施設のツアーは、美術館等の裏側が見れたり、展示企画者の企画へ対する思いを知ることができるなど評判がよい。

■ツアー参加者について
・おひとりさまでの参加が80%と高い。平均年齢は40代前半だが、若い人からお年寄りまで偏りなく参加している。
・京都府内に住んでいる人が6割。近畿地方に住んでいる人が9割で、まちの人がガイドとなり、また、まちの人が多数参加している。
・満足度が高く、リピーターも多い。

■広報について
・40代まではtwitterで知った人が最も多い。50代では知人の紹介が多い。
・新聞やラジオでも広報しているが、SNSを中心としたWebや口コミで知って参加する人が多い。

■その他
・今後の展開について、やはりガイドの魅力を重視している。おもしろい人(ガイド)と出会えればと考えている。
・参加費を徴収しているが、参加者はお金を払っている分楽しもうという前のめりな姿勢が見られる。熱心に質問される人が多い。ガイド側もお金を払ってもらっている分楽しんでもらおうと努力してくれる。また、無料のイベントよりもキャンセル率が低い。

質疑応答、ディスカッション
Q:ガイドをする人はどのような手段で情報収集しているのか?
A:Webが多い。京都府立総合資料館で公開している京都市明細図や、国際日本文化研究センターの画像を使う人も多い。論文でもWebで全文見られるものが使われる。専門家でもないガイドにとってはWebで公開されているということが重要であると思う。ただし、著作権の壁にあたることがある。Web公開がもっと増え、市民の研究者が増えてほしい。
Q:参加者のレポートを見ていると、年齢の幅広さやリピーター率の高さなど、公共施設が理想とする数字に近い。
A:土・日・祝に開催していることもあり、働き世代の人や子ども連れでの参加者も多い。多様な人に参加してもらいたいと考えている。Webでの広報も影響していると思われる。
Q:「まいまい京都」を始めたきっかけは?
A:大阪で行われているまち歩き「大阪あそ歩」の仕事をかつてしており、ノウハウや課題を感じていた。何より、まち歩きの取り組みは非常に良いし面白いと思っていた。
結婚をきっかけに京都に来て、京都でやろうと準備期間もほとんどなく始めた。初めは一人で全ツアーに同行していたため限られたコースしかなかったが、スタッフも増えてどんどんコースが増えていった。参加者の中からスタッフになった阿比留さんのようなケースもあった。
公共でもまち歩きを行っているが税金でやっていると継続性が無い。民間でやるべきだと思う。ただ、民間で自立できているところはほとんどない。民間主導でやって、行政と一緒になってやっていくのは良いと思う。思いが同じであれば一緒にやっていける。
Q:保険には入っているのか?
A:参加費に保険料も含まれている。京都ユースホステル協会の中にまいまい京都の事務局を置いており、協会で保険に入っている。
Q:2kmの町歩きとはどのくらいの範囲か?
A:普通に歩くと20分くらい。短いツアーでは京都市役所前集合して木屋町を歩いて三条で終わりというのもある。短いというのが大事で、短い距離をじっくり歩くのが良い。
Q:恒例となっているコースはあるのか?
A:毎回全てが新コースではなく、例えば今春170コースあるうちの新コースは60くらいで、残りの110コースは過去にも行っているもの。
Q:どうやってガイドを集めているのか?
A:最初は実績も無いし、いろんなところへ依頼した。twitterで面白い人だなと思って依頼したケースもあった。今は紹介してもらうことが一番多い。本や論文を読んで依頼することもある。向こうからやりたいと言ってくる人もいるし、京都は街が好きな人があふれている。京都の一つの魅力であると思う。







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