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学習会記録(第185回)


日時:2011年7月21日(木)
出席者:12名
内容:「国立国会図書館関西館報告」
2年間出向していた国立国会図書館での報告をしてもらった。

発表者:辰巳裕佳(京都府立図書館)

○文献提供課
文献提供課参考係 科学技術藩(*誤字ではない)に在籍
業務内容
・レファレンス業務(図書館からのレファレンス)、カウンター業務
・選書(見計らい棚(和書)。出版案内から選書(洋書中心))。
・ガイダンス(館内、出張(大学、図書館、研究所等))

○関西館の中の人々
・関西館の職員数は約100人、年齢は30〜40代中心。異動は年4回→組織の活性化。歓送迎会も多く、結果的にコミュニケーション促進に。
・総務課、収集整理課、文献提供課、アジア課、図書館協力課、電子図書館課
・ゼネラリスト的意識が高い。よく学び、よく遊び、仕事にも生かす。
・出向者も多い。
 大阪府立、京都大学、国土交通省等。東京本館では文部科学省や外務省とも人事交流している模様。

○関西館の仕事の仕方
・省力化、効率化
 →マニュアルの徹底
  REX:カウンタ・電話で受けたレファレンスをイントラネットでデータベース化している
 →抽出した事例からリサーチ・ナビ「調べ方案内」を作成。効率よく、成果物を「次」のステップへと発展させる。
・自己研鑚(ミニ研修・発表、外部研修への参加、外部講師による研修実施、類縁機関訪問)

○関西館の所蔵資料
■科学技術資料
・規格:
 JIS(日本工業規格)、ISO(国際標準化機構)、IEC(国際電気標準化会議)は網羅的に収集。その他、国際規格、海外規格を幅広く収集。国内で刊行されている民間規格も納本対象で、督促することもある。
 *形態には規格票と規格集の2種類があり、OPACでの検索、利用方法が異なる。
 規格票:一つの規格を1冊の小冊子として刊行
 「規格リポート類検索」で規格番号から検索。タイトルや著者からは検索できない。
 規格集:複数の規格をまとめて単行本として刊行。
 「書誌一般検索」で図書または雑誌として検索。規格集に収録された規格名等からは検索できない。
 *複写:規格票は国または官庁が発行したものは全文複写可。解説文とその他は半分まで規格集は図書・雑誌に準じる扱い。
・その他、テクニカルリポート、学術会議資料(欧文会議録、学協会ペーパー(学会の予稿集)、科研費報告書などを所蔵

■国内博士論文
 関東大震災以後大正12年9月以降の国内博士論文約53万人分、海外博士論文47万人分を所蔵
 *OPACの「博士論文」にチェックを入れて検索

■洋雑誌(主に関西館で収集・保存)
 約4.5万タイトルを所蔵。1万タイトルを継続受入れ。
 *OPACの検索で「洋雑誌」にチェックを入れて検索。
 *洋雑誌のタイトルを確認すること。引用文献では省略させていることも多い。
  例:Jounal→J、Bulletin→Bull等々(参考:リサーチナビ)
 *書誌情報の「所蔵事項」に記載の巻号・所蔵館を確認(ほぼ関西館で所蔵)
 *古い年代のものは個別の巻号データが未遡及のものもあり、画面下部に注意事項として記入がある。
 *OPACでヒットしない場合でも、電子ジャーナルとして関西館内で利用できる資料もある。電子ジャーナルの所蔵タイトルは、NDLホームページトップ>資料の検索>「当館で利用できる電子ジャーナル等」の画面で、雑誌タイトルから検索し閲覧可能年代を確認できる。(公開年の後ろにembargo○○とあるものは最新の○○年は閲覧不可の意味)

■アジア言語資料(中東・北アフリカ含む)
 和洋図書・雑誌についてはNDL-OPACで検索
 本文がアジア諸言語の資料についてはアジア言語OPACで検索。
 (1985年以前のアジア言語資料はカード目録のものもあり)

■その他所蔵資料について
・和雑誌は利用の多い雑誌記事索引採録誌を中心に4万タイトルを所蔵。
 *書誌事項の「所蔵事項」にある巻号は国会図書館全体での所蔵情報
・マーケティングレポート、技術動向レポート
 *東京館で収集されているもののうち最新のものは貸出不可。関西館では図書館協力貸出を念頭に置いて収集整理している。(一部の新しい年代の資料は貸出不可)
 *マーケティングレポート:ある商品や特定の産業分野の市場動向について、調査機関がまとめたレポート。
 *技術動向レポート:科学、工学、医学の様々な分野の先端技術についての動向集
・国内新聞は全国の新聞と業界紙を所蔵。
・住宅地図は所蔵なく、東京館所蔵分も取り寄せ不可、遠隔複写不可
・電話帳は最新版のみ、東京館所蔵分も取り寄せ不可
・官報の最初期のものは所蔵なし(昭和24年以降を所蔵、欠号あり)

○関西館で使える主な電子データベース
<一次情報>
新聞データベース
聞蔵2ビジュアル
日経BP記事検索サービス・大学版
日経テレコン21
毎日Newsパック
ヨミダス歴史館
ScienceDirect:科学・技術・医学・社会科学分野の洋雑誌約2500誌の収録論文にアクセス可能。

<二次情報>
・insaideWeb
 英国図書館所蔵の学術雑誌や会議録のなかから利用頻度の高いものを採録した、雑誌論文、会議録論文の書誌データベース。1998年以降対象でプリントアウト不可
・Japan Knowledge+
 百科事典・各種辞書・連載記事・映像資料などを集積したデータベース。『日本大百科全書』、『現代用語の基礎知識』、『会社四季報』、『日本歴史地名体系』などを網羅的に検索可能、プリントアウト可
・Web of Science
 主要な学術論文の書誌情報と引用文献を収録した書誌データベース
・他にJDream2、Web大宅壮一文庫、D1-Law.com
所蔵データベース一覧
 *トップ>関西館>所蔵資料>電子資料−電子ジャーナル・オンラインデータベース
 *プリントアウトの可否についても確認できる

○NDLを使いたおす
リサーチナビ:関西で便利なリサーチナビのコンテンツ
*「関西でしらべる」:関西地域における資料の探し方や利用方法、所蔵機関を案内。(例:住宅地図、路線価、電話帳)所蔵機関情報、インターネット情報が特に役立つ
*「関西館で調べよう」:関西館の利用案内、所蔵資料案内パンフレット(PDF)

○その他
利用者登録制度
・取り寄せサービス:東京本館・子ども図書館の資料を一部を除き関西館に取り寄せて利用できる。
 *他館への協力貸し出しよりも、やや間口は広い。
 *雑誌、住宅地図等、取り寄せできない資料も多い。
・郵送複写サービス(インターネット経由):OPACの検索結果から郵送複写の申し込みが可能。

○今後のNDLについて
・電子化:大規模デジタル化、e-book導入
・資料費、人員の削減(電子化に力を入れたからか)、収集資料の見直し
・平成24年1月に新システムを導入
 googleに近い検索のイメージ
 試行版として国立国会図書館リサーチ(試行版)が現在公開中

○離れてみてわかった府立図書館の「良いところ」
・立地:交通の便が良い、観光地、美術館や文化施設が近くにあり集客力がある。
  美術館の客や観光客の取り込み→近隣の美術館との連携小展示を昨年度より行っている。
・空間:文化的な建物、見栄えのいい建物があるのだから活用しよう。
・歴史:この土地に仮住まいして100年の歴史、古くからの蔵書、貴重なコレクションが構築され ている(シナリオや教科書など・・・ほかにも掘り起こせば何かあるかも)
・今年度は新館オープン10周年になる。ぜひ記念事業をしたい。

質疑応答
Q1:住宅地図と電話帳が取り寄せ不可なのはなぜか?
A1:移送に向かない形態であるとか、利用頻度が高い等の理由のため。

Q2:研究機関相手の研修とは、特にどことやっていたのか?
A2:近辺のけいはんな学研都市に研究所がある機関が主な対象とされていた。

Q3:収集整理は収集整理課が行うのか?
A3:関西館では、選書は文献提供課やアジア資料課など資料を提供する課が行い、目録作成や整理については収集整理課が行っていた。ただ書誌データについては、東京本館の収集書誌部が大元として作成管理されていた。

Q4:国会図書館関西館にあって、便利だったDBは?
A4:Web of scienceをいちばんよく使った。府立になくて、公共図書館にもあればいいと思うDBとしてはJapan Knowledge+などがあった。

Q5:洋雑誌の購入について、資料費が削減されて購入タイトルを減らしたとあるが、これは電子ジャーナルへ切り替えたのか?
A5:電子ジャーナルへの切り替えも含まれる。他に打ち切りに際して勘案する要素としては、利用頻度や他館の所蔵状況などがあった。

Q6:個人や団体からの寄贈は?
A6:関西館では少ない。基本的に東京本館で1部目を所蔵することとなるので、個人からの寄贈の申し出があった場合は、受け取った後の扱いについては一任してもらうようお願いしている。団体・機関からの寄贈についても同様だが、数がある場合は現物をもらう前に担当部署で受入検討されている。他に、寄贈とは少し違うが、国際交換として海外の国の機関から博士論文や会議録などをもらう制度があった。

Q7:行政府ではなく、立法府に属する図書館をどんな場面で意識したか?
A7:最初の研修で、議員対応についての研修があった。また、東京本館の調査及び立法考査局では、「レファレンス」等の国会向け調査誌が作成されていたり、議会のためのレファレンスを担当されている。国会期間中には緊急の調査依頼があった場合に対応するため、関西館でも国会当番というものがあった。

Q8:利用時間等は国会議員は別待遇であったりするのか?
A8:利用時間は基本的に同じ。




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