Home

学習会記録(第177回)


日時:2010年10月23日(土)
出席者:22名
内容:「大手前大学メディアライブラリーCELL見学会」

■CELLの概要 http://www.otemae.ac.jp/cell/index.html
       http://www.otemae.ac.jp/institution/education/cell.html
大手前大学メディアライブラリーCELL(セル)は、大手前学園創立60周年記念事業の一環として計画され、
2007年6月28日に竣工、9月20日にグランドオープン。

CELL=Communication & E-Learning Library 複合施設(セル)。

■図書館&cellsのお話
小教室は「cells(小文字)」。全部で16室。図書館と繋がっているのが8室、独立しているのが8室。
図書館内の印象。柱がバラバラに立ち並び街中をイメージした作り。
柱と天井の間にある丸い部分は、橋にも使われている技術でオブジェ兼免震設備。阪神大震災を教訓に免震対策を導入。
入口側の検索端末コーナーから伸びる赤い絨毯が階段へと続き、上がったスペースをギャラリーと呼んでいる。
ギャラリーにはノートPCが置いてあり自由に使える。
ここのスペースは狭いが、背中越しにのぞかれないので学生には人気の場所となっている。
ギャラリーイメージ画像:http://www.otemae.ac.jp/cell/facilities/library.html
ギャラリーの下の空間はAVコーナー(3人がけ)が設置されている。
平日は満席になることもある。DVDをはじめ、LD、VHSも視聴可能。AVコーナーから閲覧席を挟んで、視聴覚資料の書架がある。
視聴覚資料のケースの中には直接資料(DVDなど)が入っている。
視聴覚資料を利用する際、ヘッドホンとリモコンをカウンターで借りる(要手続)。

書架の表示(門、分野)が埋め込みタイプなので、容易に変えることが出来ない。現在変更を計画中。
全て間接照明。
図書館と繋がっているcell8室の内、ひとつは学習支援センターで教授他スタッフが常駐。
調べ物→疑問→質問へとワンストップサービスが可能。
また、cellで社会人向けの一般講座を実施。講座開始は19:00だが、図書館自体は18:30で閉館。
そのため、cellには内向き(閲覧室と往来可)と外向き(CELLテラスと往来可)の扉が設置されており、図書館閉館時には閲覧室を経由せずに館外へ出ることが可能。

その他に資格サポートセンター(図書館とは別組織)がcellの1室を使用。
講座一覧:http://www.otemae-cc.jp/supportcenter/ 

また、現在月水金に4年生有志が後輩の就職活動の相談にのる場所としてcellを使用。
結構利用されている。

cellでは学生や教員の写真や絵画、クラフトなどの展覧会、図書館のリサイクルブックフェアなどが随時開催される。また3年生必修ゼミの発表なども行われる。

開架の配架冊数は1階に1万2千(総記000〜日本史216)、地階に3万6千(東洋史220〜文学900)。
地階へと続く階段付近に近隣施設のチラシを陳列している。チラシは電話で依頼するなど積極的に収集している。

■地階部分
全体的にとてもデザイン性が高い。
1階は天井構造がないため、音が響きやすい。人の出入りも多く、多少のざわつきがある。他階は「静粛エリア」とし、静かな空間を確保している。
地階の閲覧席はカウンター式にすることでスペースを確保。
席は東側にあり、全面窓ガラス。緑を眺めながら資料を閲覧できる。
逆に外から閲覧席は丸見えだが、「見る・見られる」という関係はよい。

集密書架は学生が自由に利用可能。過去3年間事故はない。
集密書架には利用率の低い図書、雑誌のバックナンバーを配架している。

地階の南側に特別資料室がある。
貴重所やマイクロフィルム、普段利用の少ない特殊な資料が置かれている。独立した温湿度管理ではない、スプリンクラーが設置されている、などの点からみると、厳密な「収蔵庫」ではない。
マイクロフィルムの利用は少なく、リーダーも一台しか置いていない。

■地階から屋上のルーフガーデンへ
地階閲覧室から扉を経て、マンガやアニメーション授業のためのPC教室(3室)へと繋がっている(普段は、資料の持ち出しを防ぐために、繋がっている扉は閉まっている)。
その連絡通路部分がギャラリーとなっているが、過去3年間利用はない。
展示物が吊るせる様にワイヤーが設置されていた。
CELL全体は場所により、図書館、教務課、総務課の三課で管理。

ルーフガーデン。黒田アキ氏とのコラボによって生まれた「持ち上げられた中庭」。
雨水を取り込み、濾過してトイレなどに使用(トイレは図書館内にはない)。
とても綺麗な眺めで近くの住民も訪れている。
飲食可能だが、ゴミは持ち帰ることになっている(掲示あり)。
自然光の取り込み口がたくさんあり、ブロックの積み方ひとつにしてもこだわりがみられる。

■再び建物の中へ
カンファレンスルーム:40名収容可能な会議室。映画「ふたたび」のロケ地として大学が使用された。
当初、カンファレンスルームを社長室の場面として使うつもりだったが、その場面は別の場所で撮影された。
かわりに1F閲覧室で主人公がノートPCを使ってインターネットで調べ物をするという場面になった。
参考:http://nishinomiya-style.jp/futatabi/taidan.html

フォーラム。
200名収容の多目的ホール。学園主催の市民講座や学生のクラブやサークルの発表など色々活用される。

理事長ルームから、理事長が子供のとき見た木が今も見える。
元の住宅地にあった大木を切らずにの残したらしい。よって、CELLまわりは緑の多い環境になっている。

■別棟にある閉架書庫へ
1Fは固定書架(0-7門)、2Fは集密書架(8、9門と洋雑誌)。
カビが発生したため処置を検討中(11/17現在、業者により処理済)。
移転の時に資料をプレハブで保存してほしいと言われたが、拒否した。その代り書庫に入れる資料は2万冊から1800冊に選書した。
書庫の資料と開架の資料の区別は、三段ラベルの中段に緑色のテープを貼ることで対応している。
去年、耐震工事として壁を厚くしたら北の窓がなくなってしまった。

■FOGLIAで一休みしながら、補足説明&質疑応答へ。
カフェ「FOGLIA(フォリア)」。
CELLの入口に位置するオープンカフェ(禁煙)。

CELLの入口は木製の自動ドアが二枚。
二枚あることで、図書館部分と外とを区別する結界の意味もある。
向こう側が見えないため、外との仕切りとしてはよいが、開いた瞬間に利用者同士がぶつかりそうになることも多い。

室長の感想で収納力が思ったほどではない点、若干ガッカリ(2009年収容割合22.7万冊/34.4万冊)。
前室長は書架を一本でも増やしたかったが、設計士の方が収容効率より、デザインを重視した。

質疑応答。
Q:空調と光熱費について。
A:光熱費は不明だが、エコには配慮した設計。空調は天井が高いため、下から上へと流れるようになっている。
  カウンターの上に大きな丸い排気口があり、また、床には沢山の吹き出し口がある。
  この吹き出し口が、ブックトラックを使うとき障害物となっている。

Q:職員の構成は?
A:正職員2人、期限付き職員2名(目録・IT担当)、ほかにアルバイトさん2名(実質1名:週3+週2)。カウンター業務は丸善に委託しており、5人居て3人常駐。
  丸善に委託する前、夜間(17:00以降)は学生のバイトがやっていた。
  サービスの「質」向上のため、学生のバイトを使うのはやめたが、学生のパワーはうまく使いたい。
  伊丹キャンパスの図書館は蔵書7万冊、正職員二人、期限付き一人、派遣一人。

Q:資格サポートセンターの開いている時間は?
A:図書館と同じ9:00-18:30。二人常駐。

Q:日本図書館協会建築賞(2009年)受賞について。
A:マイナス評価を受けたのは、書架のサインの変更が不便な点と地階への動線がわかりにくい点。
  デザイン性を重視しているので掲示物にも注意を払っている。

Q:図書館の運営決定は誰がしているのか?
A:図書館運営委員会がある。教授等で構成され、そこで大事なことを決める。
  また、理事長、学長、館長それぞれの立場で図書館をバックアップしてくれている。

Q:収集しているチラシの行方、館内の掲示物の保存は?
A:ポスター、館内の掲示物の保存はしていない。
  チラシは利用者に今後配布できるように一応残している。

Q:(教職員、学生の)cellの利用方法は?
A:予約はHPから申請書をDLしてもらい、カウンターに提出。
  http://library.otemae.ac.jp/lib/download.php
  また、20歳以上の一般の方なら図書館は登録後利用可能(図書3冊2週間)。ただし、cellは利用不可(講座除く)。

Q:cellの稼働率は?
A:約6割。図書館閉館後は講座で使用されるぐらい。
  最近、使えることが学生に広まってきたのか、閉館後もそこそこ利用されはじめてきた。

Q:土曜日に授業は?
A:基本的に無い。補講があるぐらい。
  他には、資格対策講座(学生が受講)、社会人向け講座が資格サポートセンターにより、開かれている。

Q:ガラス部分がとても多いが掃除は?
A:業者に頼んでいる。ガラスと席などが遠いので、触れる機会も無く意外とガラスは綺麗。
  ガラス以外でも全体的に掃除に力を入れてる。



Copyright © 京都・図書館情報学学習会. All Rights Reserved.

inserted by FC2 system