Home

学習会記録(第174回)


日時:2010年6月12日(土)
出席者:15名
内容:「国際日本文化研究センター見学」
国際日本文化研究センターの江上さんにセンター内をご案内いただきました。

■図書館の概要 http://www.nichibun.ac.jp/lib/index.htmlより引用
国際日本文化研究センター(略称:日文研)は、日本文化に関する国際的・学術的・総合的な研究ならびに世界の日本研究者に対する研究協力を目的として、1987年5月文部省大学利用機関として設置されました。当図書館は、その趣旨を踏まえ日本研究に必要な文献資料等を幅広く収集し、内外の日本研究者の利用に供することを目的としています。
 また、1992年4月に設置された総合研究大学院大学文化科学研究科国際日本研究専攻の基盤図書館としての役割も担っています。

参考図書、外国語図書、日本語図書、雑誌、AV視聴室(図書館1F)については、http://www.nichibun.ac.jp/lib/use.html#HAICHIを参照。

■カウンター前でのお話。
図書館全体で約45万冊。
分類は日本語、中国語、ハングル、参考図書はNDLC、それ以外の外国語図書はLCC。
*NDLC=国立国会図書館分類表 LCC=米国議会図書館分類表
現在資料館の奥に第二資料館(3F)を建設中、6月末に完成予定。
ここでは、図書館、資料館、外書館とわけて呼んでいる。
日文研での呼び方として、海外で出版された日本についての本を「外書」と呼んでいる。
所属は教員が30人、院生20人、海外からの研究者が30人くらい。
海外の日本研究者が研究員として1年ぐらい滞在。多くの人は日本語が話せるのでコミュニケーションに問題は無い。
今年の5月から土曜日も開館(土曜日に共同研究会が行われることから、その関係で要望があったため)。
府立総合資料館のように学生が自習目的で訪れることは無い。

図書館の配置 http://www.nichibun.ac.jp/lib/map/library.htm
T1(図書館1F)
円形をしている。資料は人名、参考、目録と3つに分かれている。
人名:人名事典を収集している。
参考:百科事典を主に配架。
目録:目録コーナーはポータル的位置付け。
   そもそも「日本文化」の範囲が広く設立が新しいため、日文研自体で欲しい資料が見つからないことが多い。
   そのため、目録が活躍している。
  →日文研費用で年間3000件のILL依頼を行っている。
   外壁部分に、映画や日文研の出版物も配架していた。
   映画は邦画や日本を取り扱った洋画、出版物は研究成果的なもの。

Q&A
Q:目録の入手方法は?
A:買ったり、送ってもらったり。研究者が帰国後送ってくれることも。

Q:海外からの研究者はどんな地域から来ているのか?
A:所属の研究者は東西半々。院生はアジア系が多い。

■S1(資料館1F)
書架間は自動調光。人が近づけば自動点灯。
マイクロフィルムを4万本所蔵。室温20℃、湿度35%に保つことが理想だが、密集しすぎで正直良い保存環境とはいえない。
国内の図書館では国立国会図書館と日文研にしかない資料(プランゲ文庫)を所蔵。
*プランゲ文庫 http://www.nichibun.ac.jp/lib/prange.html
様々なAV資料を再生するため、ユニバーサル仕様で、レコード、VHS、CDなどの再生様式を揃えている。
見せて貰ったAV資料(ぱっと見1000以上)の三倍ほどが未整理状態。
院生の要望により購入することも。
妖怪モノがやたら目に付いた(妖怪人間ベム)。
移動する際、踊り場のようなところに漫画が多数あった。誰でも知っているような図書が約100タイトル。
ここでも妖怪モノがいくつかあった。

■S2(資料館2F)&M3(資料館中2F) *M3には行っていない
自動書架がズラリ。一部未整理の資料(ダンボール山積)も。
書架スペースを確保するため中2F的部分(M3)があるが、職員のみ出入り可能。
階段は無く、バッテリー駆動タイプの運搬用コンテナを購入し、それを使ってM3の資料を出納。

■T3(図書館3F) *T2は通過
円形で中央部(大部分)は吹き抜け。
天井中央部にステンドグラス。
反対側の書架へ辿り着くためには迂回しないといけない(円形の不便さ)。

S3(資料館3F)
貴重書庫を見学。木作りの部屋(8畳ぐらい)に資料が収められている。
貴重書は約3000冊。洋書が多く、その基準は1853年(開国)以前に発行された資料。
コンクリート壁と板壁の間には空間があり、建築材からの熱伝導による室温変化にも対策をとっている。
廊下と前室、前室と書庫との間に扉があり、廊下の空気が書庫に直接流れ込むと温度変化他色々問題発生するため、片方を閉じないともう片方を開けることはない。
閲覧台にはVの字(160度ぐらい)のウレタン製の台が設置されている。
古い資料は、水平なところで開くと背が割れたりして傷んでしまうから。
また、鉛入りのチェーンを文鎮代わりに使用。

Q&A
Q:貴重書を触る前にウェットティッシュで手を拭いたり、手袋はしないのか?
A:手袋をして取り扱うと余計に傷めてしまう可能性があるため、そういうことはしていない。手洗いをしてもらう。

日本語雑誌、外国語雑誌の書架を抜け、地図室へ移動。
いくつかの資料(地図、刷物)を見せてもらう。
*幕末に麻疹から逃れるまじないを擬人化した刷物。横浜アルバム(漆塗りの箱入り)。
ここで見学終了。以下、フリートーク。
・年間3000件ILL受付。
・1987年開館のため、1960-70年代の資料が比較的少ない。
・電子ジャーナルの利用はあまりない。洋雑誌の利用も多くない。
・脱酸処理は外注。
・修理の予算が無いときは、箱詰めした後、鍵付電動閉架へ。それらを利用したい人が居る場合、状況に応じて判断する。
・野間文庫は数年間の連続したプロジェクトで少しずつ修理を行なっていた。現在は終了しているが、それでも修理を要するものは残っている。
・修理する必要がある資料は、利用されて初めて状態がわかることが多い。
・ILL依頼をしても極端に時間がかかる、送料のほうが高額等の場合、購入することがある。
・貴重書のデジタル化の際には、カラーマイクロ(35mm)で撮影を行う。
・職員の仕事は研究者や院生の研究活動を直接的に支援する性格が強い。




Copyright © 京都・図書館情報学学習会. All Rights Reserved.

inserted by FC2 system