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学習会記録(第165回)

日時:2009年6月18日(木)
出席者:10名
内容:「小学校図書室におけるボランティア活動」
発表者:若林 正博(京都市立伏見板橋小学校図書ボランティア)

1.伏見板橋小学校の紹介
・創立明治5年、旧尾張藩邸跡に開校した。旧伏見町で最初に設立された小学校である。
・藩邸の頃から生えている校庭にある柿の木は「区民の誇りの木」となっている。
・校内に「白菊の井戸」という名水が湧き出ている井戸があり、地域の住民にも利用されている。
枯れていた井戸を平成2年に保護者の寄付により再生したものである。
・戦前に歌われていた第一校歌と、戦後になって出来た第二校歌があり、創立130周年記念時より戦前の第一校歌も歌うようになった。
・創立130周年記念に空き教室を利用した郷土資料室「いたはしくら」を開設した。
地域からの寄贈を受けた昔の生活用品等を展示している。昔の図書もあり子ども達へどう見せるか(図書室との連携)という課題がある。
・教育目標は「夢を抱き心豊かにたくましく生きる板橋の子」
・目指す子ども像「やる気のある子・思いやりのある子・ありがとうの言える子・あいさつのできる子・やりぬく子」
取組み例:読書マラソン(やりぬく子)昨年100冊以上読んだ子どもが241人(約550人中)いた。50冊、100冊ごとにシールをもらえ、図書室でも氏名の掲示を行う。
・校庭を使った夏祭りが夏休み中2回も実施されるなど、地域社会との連携が活発に行われている。

2.図書室とボランティア
・先生と地域住民で構成されている学校運営協議会の中に4つの委員会があり、図書室の活動は「心の委員会」が行なっている。
心の委員会は企画推進委員(地域住民)7名と先生5名で構成されており、発表者は企画推進委員の1人として活動をしている。図書室などの読書活動、ゴミ拾いなどの環境美化活動、茶道教室などの文化活動の事業を行っている。

3.図書室の状況
・二つの図書室がある。かつては本館の2階に位置していたが、児童の訪れやすい教室がある校舎に移転した。
教室を図書室に転用しており、第一図書室を調べ学習用に使用し、第二図書室を読書活動に使用している。
・蔵書数は約7000冊。第一図書室はNDCには縛られない、児童にわかり易く、カリキュラムで使用しやすいような、0〜8の分類方法を選択している。第二図書室は絵本や物語を低学年向き(桃色タグ・書名のあいうえお順)と高学年向き(青色タグ・著者名のあいうえお順)に分け配架している。

4.図書室の運営
・児童(高学年の図書委員)によって中間休みと昼休みに図書室を開室し、貸出処理等を行っている。ボランティアによる開室は月曜日と木曜日の放課後。

5.ボランティアによる取り組み
・季節の話題等をイラストや文字で紹介した壁紙新聞を作成している。先生が発行する図書だよりにクイズを掲載し、図書室の壁紙新聞を見れば回答できるようにするなど、生徒が図書室へ来るための工夫を行っている。
・季節毎の壁の飾りつけ、図書の受入(ブッカーかけ、ラベル貼り、データ入力、キーワードラベル貼り)、貸出・返却、図書の修繕、不要本の募集も行っている。
・またよみきかせを実施しており、放課後の開室時に集まった生徒(10名〜20名程度)に対して絵本や紙芝居のよみきかせを行っている。
・年に3回土曜日に開催される「ふれあい事業」においても本に親しむ取り組みを行っている。講談社の「おはなし隊」も毎年来校してくれる。
・よみきかせの例:絵本「いろとかたち」を使って、参加型(クイズ形式)のよみきかせを行い、その後、絵本と同じしかけ作り(画用紙の扉部分に○△□などの形に好きな色を塗り、「赤い丸なーんだ?」の答え「トマト」の絵を扉の中側に描く)を行った。よみきかせに止まらず、子供たちが自ら考え、学ぶことができるような工夫を行っている。
<この後、実際に参加者も作成し、発表を行いました>

6.図書部の活動のお手伝い
・学校の教務主任と図書室担当の先生で構成される図書部の活動をサポートしている。
・調べ学習用のパスファインダーの作成などを行っている。

7.その他の活動(地域の人やおやじの会)
・手作りの大判カルタ(五色小倉百人一首)を作成し、体育館でのカルタ大会を実施した。
校区内の名所・旧跡をクイズにした「いたはし・れきし・ぶんかクイズラリー」を開催した。

8.今後の課題
・よみきかせ活動の充実。
・もっと多くの子ども達が図書室へ来てくれるような様々な取り組み。
・ボランティアのスキルアップ(研修会等への参加)
・ボランティア自身の生涯教育(壁紙新聞の作成などでボランティア自身の教養を高められた)
・地域との連携(これまで行ってきた地域住民の学校への関わり、活動によって、
学校によい影響が出てきている。今後も地域による支えをより発展していきたい)
学校にとって地域との連携は不可欠になってきている。
みなさんも学校が地域のボランティアを募集している時には是非参加してほしい。

Q&A

Q.ボランティアはどのような人たちで構成されているのか?保護者以外にもいるのか?
A.現在は子どもがすでに小学校を卒業した保護者が多い。子育てから離れた人や、子どものいない人も参加してくれている。

Q.ボランティアによる図書室は何時から何時まで開室しているのか?
A.5時間目が終了した2時15分から下校時刻の5時まで開室している。ボランティアは2時15分の開室時間より早く来て活動している。


Q.平日の昼間の開室ということは、ボランティアは女性の方が多いのか?
A.図書室のボランティアは女性が多い。男性は自分だけである。心の委員会では5人の先生の中で男性の先生は1名である。企画推進委員は男性と女性の割合が3対4くらいである。
男性は平日昼間の参加がしにくいので、壁紙新聞、パスファインダー、クイズ制作など夜間自宅で出来ることをしている。

Q.こころの委員会はどのような先生で構成されているのか?
A.教務主任と図書室担当の先生、他に学級担任の先生が3名いる。先生は学校運営協議会の4つの委員会のどれかに所属している。

Q.図書室の利用マナーはどうか?
A.児童のみで開室していた頃に比べて、大人のボランティアが入ってからマナーはよくなっていると思われる。図書室内で騒いで走り回るようなことはなく、図書室として機能している。



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