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学習会記録(第157回)

日時:2008年9月18日(木)
出席者:9名
内容:「シンガポールReference Library & Lending Library 見学記」
発表者:柴田 容子(京都府立図書館)

☆見学の際に撮影した写真(館外)や、館内配布のパンフレット・冊子などを見ながら、シンガポールReference Library & Lending Libraryを紹介。

1 シンガポールについて
○人口:約400万人(中華系75%、マレー系14%、インド系9%)
○公用語:英語、中国語、マレー語、タミル語

2 国立図書館について
○1995年、情報芸術省に国家図書館庁(National Library Board:NLB)設置
○2005年、NLBビル新築オープン
・劇場なども含まれる複合施設で、ビルの約半分の空きスペースを民間商業施設に貸し、賃料を得ている。
・ビルの7〜13階にLee Kong Chian(リー・コンチャン)Reference Library:レファレンス図書館
・地下1階にCentral Lending Library:貸し出し図書館

○特徴
・Do It Yourself図書館
  自助努力 利用者に対しても図書館自身も。
・豊富な有料サービスと豊富な無料の手の差し伸べ
・法定納本図書館…2部納本義務付け(デジタル資料やパンフレットも)
・「Library 2010」シンガポールの図書館構想の冊子…人が資源であるとし、育成に力を入れている。
・図書館年報…写真を多用し、楽しく読みやすい作り。
・ブックドロップ(自動返却装置)などICシステム導入で年間5000万S$(シンガポールドル)節約
・書架にアンテナがあり、ICタグつきの資料が探せる(実験事業を一部実施中)。

○サービスいろいろ
・豊富な配布物
  案内パンフレット・チラシ
  ブックリスト…ティーン向けストレス対処法など
  パスファインダー…検索語&請求記号、図書、AV、データベース
  「Ask!」(レファレンスサービスをアピールするリーフレット)…カウンター、メール、ブログでのレファレンスができることを案内
・eNotification & Alert Services…返却期限・期限切れ資料・紛失図書の値段などのお知らせ
・アンケート・クレームカード…マイナス評価だけでなく、ポジティブな評価を聞きとる。

○利用について
・15歳以上のシンガポール人はカード作成料5S$で登録。子どもは別料金、外国人も登録可。
・プレミアム会員は年会費21S$で貸出冊数倍(8冊)、視聴覚資料も借りられる。
・延滞料 0.15S$/冊×日数 + 4.15S$(管理手数料)
・商用データベースの利用は有料

○利用者の雰囲気
・床に敷かれたカーペットに直に座り込む利用者も多い。床に座ることを前提に作られているコーナーもある。

(参考文献)
情報の科学と技術 58(1) 2008 特集:シンガポールのいま

Q&A
Q.シンガポールの図書館司書の地位は?
A.公務員の司書の給与は上げた。研修・福利厚生も充実。表彰制度でモチベーションを上げる工夫。
  司書以外の専門職員には、補助金を出し、司書講習を受けてもらっている。

Q.カウンター職員の性別・年齢層は?
A.女性職員は多かったが、管理職は写真をみると男性のほうが多いようだ。

Q.現地の物価からすると図書館の利用料金は高い?
A.それほど高くないのではないか。

Q.各国語の図書は混配?
A.言語によって分けて配架。英語の資料が多い。

Q.館内配布物は英語のものだけか?
A.今回の見学では英語の配布物をもらってきたが、館内には中国語、マレー語などの各公用語の配布物がある。

Q.利用者の商用データベース使用料は高い?
A.1秒いくらの課金システムで、使用している人は見なかった。PRしているが、お金がかかるので使いにくそう。

Q.スペースは?
A.まだ新しいこともあって、ゆとりがある。書架の間も広い。

Q.貧富の差は大きい?
A.外国人労働者等との格差はありそうだが、図書館では多くの人に使いやすくしようと努めている。特に身近に図書館をおく政策を実施し、数も著しく増えている。



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