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学習会記録(第156回)

日時:2008年7月10日(木)
出席者:7名
内容:「京都府立医科大学における利用者教育の事例」
発表者:山下 ユミ(京都府立医科大学附属図書館)

○京都府立医科大学における利用者教育について、現況と課題を分析した(医学情報サービス大会での発表と同内容。詳細はレジュメ参照)

1.背景
・京都府立医科大学での図書館利用法の授業開始は、記録に残っているかぎりでは平成9年度より。この10年間で、電子資料・インターネットの登場したことに伴い利用法は変化してきた。

2.これまでの実施状況
@オリエンテーション
・新入生対象…医学科および看護学科1年生、編入生(3年次からの編入生あり)、修士課程、博士課程
・研修医対象
・その他新入職員対象とすることも。大学校舎と図書館が離れていることもあり、図書館のアピールをかねて、来館してもらうことを大事にしている。

A授業「図書館利用法」
・医学科2年生(1回 図書・雑誌検索)、3年生(10回 雑誌論文の検索)
・看護学科1年生(3回 図書・雑誌検索)、2年生(2回 雑誌論文の検索)、3年生(2回 雑誌論文の検索(応用編))
・学科によってコンピュータを使える教室等の都合で回数が異なる。学年をグループに分け、各授業は1人に対して1回行う。
・授業の内容
「図書・雑誌検索」…図書館にある資料を知る。OPAC、請求記号(NDC分類)の使い方、館内の資料配置、他の図書館の所蔵の調べ方について学ぶ。OPAC、Webcatの演習問題を解く。
「雑誌論文の検索」…医学図書館の機能とサービスを知る(教育支援、研究支援)。最新の情報が得られる雑誌論文について、二次資料や電子ジャーナルを理解し、探し方を学ぶ(PubMed、医中誌Web)。
・授業の位置づけ
「総合講義」(教養科目の一種)として大学のカリキュラムに組み込まれている。
 →メリット:安定した授業時間の割り当てを確保できる
 →デメリット:成績をつけないため、参加意欲の低さにつながる(出席率は近年低下)  対策として他の授業の1コマを図書館利用法に充てることを検討しているが、担当教師の異動等に左右される可能性も。

B図書館主催の講習会・説明会(出前講習含む)
・医学情報系データベースの有効利用法を学ぶ。業者等の外部の講師を招くこともある。
・Ovid MEDLINE、CINAHL、医中誌Web…契約している有料データベース。
 PubMed…無料データベース。よく使われるもので、もっとよく知りたいという希望も多い。
 電子ジャーナル
 EndNote…文献の書誌情報を管理するソフト。雑誌の記述の仕方をサポートしてくれる。講習には50人くらいが参加して人気だった。
・内容、時間によって参加状況は変化する。3限以降の時間帯の方が多く参加する傾向にある。
・出前講習
 利用者の希望に応じて内容を決定し、図書館員が出向いて講習を行なう。個人的な口コミで依頼が来る。17年度は2回、18年度は3回実施。受講者は10〜18人程度。参加人数があらかじめ分かっているメリットがあるが、図書館員に幅広い知識と経験が求められる。

*講習会の課題
・利用者の要求と合致した内容、時期で行なわれているか?
 (ex.論文作成に役立つ時期に行なっているか)
・講習会という形態がふさわしいか?
 (ex.図書館内でのパンフレット配置、Web上のマニュアル掲載などの方が効果的ではないか)

3.今年度の取り組み
・年間計画に基づく講習会の実施
 これまでの経験から、求められる講習会を模索。
新しいシステムやツールを取り入れる。
・利用者ニーズ調査
 アンケートやインタビューを行なう。
・講習会資料のWebサイト掲載

4.今後の課題
・人員削減による職員数の減少
 →効率的な講習会計画の必要性
・ニーズ調査が必要
 →広報、図書館員のスキルアップへの期待


Q&A
Q.講習会開始の働きかけは学生課からか、それとも図書館からしたのか?
A.図書館側からやっていこうという発案があった。
 京都大学医学部図書館で昔から実施していたのを参考にした。今年度の京都図書館大会で京大の事例発表がされる予定(*9/3に開催)。

(その他意見交換)
・医学部4年でも、資料の調べ方を分かっていない人が多い。看護学科は学生の研究進度と利用教育の進度があっているが、医学部はあっていないのかもしれない。利用教育の講習を、論文作成直前の4年生にしたほうがいいかもしれない。
 いずれにしてもカウンターで必要に応じて調べ物の手助けをするのが基本だが、その発展形がオンデマンドの出前研修だ。



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