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学習会記録(第155回)

日時:2008年5月10日(土)
出席者:11名
内容:「京都府京都文化博物館見学会」

文化博物館の横山さんにより特別展「源氏物語千年紀展〜恋、千年の時空をこえて〜」の解説をしていただき、その後自由見学
・会期
2008年4月26日(土)〜6月8日(日)

1.なぜ2008年が源氏物語千年紀なのか?
源氏物語がいつ完成したのかを決定付ける史料はない。
『紫式部日記』の寛弘5年(1008年)11月1日の日記に、藤原公任に「若紫はいますか?」と声をかけられた、という記述がある。
つまり1008年の時点で、源氏物語は少なくとも「若紫」までは完成しており、宮中で広く読まれていたという事実と考えられている。
そのため、1008年から千年後の今年を源氏物語千年紀と定めた。

2.紫式部について
生没年の詳細は不明。生年は元禄元年(970年)〜天元元年(978年)の間で諸説あり、没年については寛仁3年(1019年)正月までは生存したらしい。
長徳4年(998年)藤原宣孝と結婚するが、長保3年(1001年)に夫が死去。
夫の死後「源氏物語」を執筆し始めたのではないか、と言われている。
長保6年(1004年)に一条天皇の中宮・彰子の女房として宮仕えすることになる。
「源氏物語」の一部が世に流布され宮中で話題となり、教養・文才を認められ、その評判から藤原道長の娘である彰子の家庭教師として道長にスカウトされたのでは、と考えられる。

3.展示について
国宝の「源氏物語絵巻」は展示したかったが、徳川・五島美術館からは借用できなかった。
しかし、そのほかの源氏物語に関連する資料はほとんど揃えることができた。
源氏物語千年紀イベントの中核をなすものと自負し、2年前から準備をしてきた。
展示は二部構成。前半は平安時代の文化を紹介し、源氏物語の世界を知ってもらう。後半は、源氏物語成立後の写本・絵画・工芸作品により、千年の流れを見てもらう。
展示企画委員の先生に入ってもらい議論。

4.展示の構成
プロローグ 源氏物語への誘い
第1章 作者・紫式部
第2章 源氏物語の世界
第3章 写本 その営みと美
第4章 源氏物語の楽しみ
エピローグ 源氏物語の雅

5.源氏物語の受容
源氏物語は最初は貴族のみが読んでいて、写本を持っていることがステータスだった。
その後、室町時代に書写されて武士階級に広まり、江戸時代には版本によって一般大衆にも普及し、人気となった。



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