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学習会記録(第152回)

日時:2008年1月17日(木)
出席者:10名
内容:「レファレンスサービスの基本と課題」
発表者:柴田 容子(京都府立図書館)

○レファレンスサービスについての基礎的・総覧的な講義内容を基に、現場で役立つ実際的な情報・テクニックの提示、今後のレファレンスサービスに向けての考察がなされた。(京都市立図書館で行なわれた講義と同内容)

1.いま、なぜレファレンスサービスか
 さまざまな社会変化の中で、課題解決のための多角的な知識・情報が必要とされている。急速な技術の発展、雇用形態の多様化、さらには自己判断・自己責任が求められる社会の動きの中で、地域における自立的な意思決定を支援する機関として、公共図書館の役割を考えていかなければならない。
 参考:『これからの図書館像 地域を支える情報拠点をめざして』(文部科学省 これからの図書館の在り方検討協力者会議 平18.3)

2.レファレンスサービスの課題
・これまで提供されてこなかった分野への展開…社会変化への対応、図書館側の掘り起こし ex.医療情報提供
・インターネットの普及…図書館・利用者双方にとっての大きな変化
・電子メディアの拡大…目録、索引、雑誌の電子化
・PR(広報、見せる工夫)と評価(レファレンスの組織体制、コレクション充実等)
 参考:『これからの図書館像 地域を支える情報拠点をめざして』
   :「レファレンスサービスの改善と向上に向けてのガイドライン(案)」(全国公共図書館協議会 平成18.3)

3.レファレンスサービスの概略
・レファレンスサービスとは…@質問回答サービス A準備的サービス(ex.レファレンスコレクションの形成、HP上の情報・目録・調べ方案内の提供)
 *質問回答サービス、準備的サービスともに情報技術の発展により拡大傾向にある。
・質問回答サービスにおけるレファレンスプロセス
 第1段階:質問の受付(レファレンスインタビュー) 第2段階:質問の分析 第3段階:質問の検索
 *第1段階の前に、第1印象・現況把握・レファレンスサービス範囲(ガイドラインで明示させておく必要あり)の確認が大事。

4.レファレンスインタビュー
・質問の意図を明確に把握する作業。(参考:インタビューが必要となる質問の特徴(G.Jahoda))
・相手を尊重し、まずは自分を疑うという心構えが必要。また質問者が調査済みの内容を同時に聞き取ること。

5.レファレンス連携
・レファレンス業務に責任を持つ館は、レファレンス体制の整備、研修などを行い、またノウハウや事例を共有、公開、発信していく体制作りをしていく必要がある。
 参考:レファレンス協同データベース(国立国会図書館)
・自治体内で解決しない場合は、K-libレファレンスへの登録や、国立国会図書館への照会などができる。

6.レフェラルサービス
・関係機関への案内(ex.府内類縁機関、大学、新聞社資料室)

7.まずは自館目録
・自館目録の検索方法を知る(ex.どのフィールドにどういったことばを入れたら探すことができるのか、条件の掛け合わせ、前方一致など)を理解し、使いこなす。
・うまくヒットしない場合は、他館の目録や、総合目録、参考図書類、web情報を参考にして引きなおす。

8.とっかかりとして
・どんな分野の調査かわからないときは、百科事典がオーソドックスだが、最近はまずサーチエンジンを使うことも。ウィキペディアなどインターネット上でみんなでつくる百科事典も知らず知らず利用していることも。web情報の信頼性には注意を払うこと。

9.次に何を調べたらいいのか(調べ方を調べる本)
『日本の参考図書』、『書誌年鑑』、『人物レファレンス事典』類、『情報と文献の探索』等のレファレンスワークの参考図書、『日本統計年鑑』などのほか、国立国会図書館のレファレンス情報システムが有効。

10.基本的な参考図書・web情報
雑誌記事索引(国立国会図書館)、『新編国歌大観』、法令データ提供システム(総務省)、web上の規格検索、学術情報など。

11.国立国会図書館HP
テーマ別調べ方案内、レファレンス協同データベースのほか、近代デジタルライブラリー、日本法令索引など使えるツールが数多くホームページ上で公開されている。また、関西館では所蔵資料の使い方をパスファインダーで積極的に案内している。

Q&A
Q.電子化された古典籍のデータベースが検索できるような総合目録はあるか?
A.GeNiiの大学Webサイト資源検索を利用して、貴重書データベースを探すこともできる。また、国立国会図書館のデジタルアーカイブポータルに今後参加館が増えていったら便利になるかもしれない。データベースがHTMLで書かれていたらサーチエンジンで探すこともできるので試してみるのもいい。

Q. 京都府立図書館のオンライン目録で、検索した資料がデジタル化されているかどうかの確認はできるか?
A. 京都府立の目録ではまだできない。NDL-OPACで検索した資料が近代デジタルライブラリーにあるかどうかの確認が最近できるようになったように、いずれそうなれば便利だと思う。

Q. Webcat-Plusの使い方の良いコツはあるか?
A. 長文検索ができるのでコピーペーストした文章をそのまま検索するなどの使い方もあるが、連想検索は絞込みがなかなか難しいので、ベストな利用方法はまだ発見できていない。



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