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学習会記録(第145回)

日時:2007年5月17日(木)
出席者:10名
内容:「GeNii・NII学術コンテンツポータルの概要―国立情報学研究所(NII)が提供する学術コンテンツ・ポータルを使おう!―」
発表者:河原 茂記(京都府立医科大学附属図書館)

国立情報学研究所(NII)が提供する学術コンテンツポータルGeNiiについて紹介する。

GeNii総合検索システムとは
・学術情報検索のための統合環境を提供するコンテンツ
・NII論文情報ナビゲータCiNii、図書情報ナビゲータのWebcat Plus、科学研究費成果公開サービスKAKEN、学術研究データベース・リポジトリNII-DBR
この4つのコンポーネントを一括して検索することにより、どのコンポーネントにあるのかを意識しなくても、求める情報にたどりつくことができる。
・各データベースでの検索結果は最初の3件づつ、それぞれの段に表示される。そしてこの検索結果から内容詳細が表示できる。また、コンポーネントの個別の結果一覧を表示することもできる。

各コンポーネントの説明

CiNii(サイニィ)
・日本の学術論文を中心にした論文情報を提供する。
・文献の引用関係(その文献が引用している文献、その文献を引用している文献)を表示、医中誌などの一部のデータベースは本文へのナビゲートもしている。(2006年現在、収録論文の約1/4が本文が参照できる)
・論文の検索は無料で利用できるが、抄録や引用情報の参照は有料のため、利用登録が必要となる。

収録データベース
・NII-ELS学協会誌(国立情報学研究所)、本文へのリンクあり、250万件
・NII-ELS研究紀要(各大学の共同入力)、一部本文/外部リンクあり、70万件
・引用文献索引データベース(国立情報学研究所)、引用情報があれば収録、書誌110万件、引用1140万件
・雑誌記事索引データベース(国立国会図書館)、書誌情報のみ、690万件

引用情報について
・検索結果を「citing件数順」に並び替えて、重要そうな論文の先頭表示が可能(未登録の場合は検索結果の一覧表示までで利用登録すると詳細情報まで見ることが出来る)
・2006年現在引用情報を集録しているのは、約1/10。

WebcatPlus(ウェブキャットプラス)
・図書や雑誌を検索し、所蔵している大学図書館等を知ることができる。
・「連想検索機能」により、求めるテーマに関連する図書を効率的に探す手助けをする。
・毎週追加される最新の図書から、明治期以前に発行されたような古い図書まで、一括して探すことができる。
・日本語図書・英語図書は目次、内容情報を見ることができる。
・Webcatとの違いは、機能や収録情報を追加したデータベース。
 機能面での追加・・・連想検索
 収録情報の追加・・・流通図書情報データベースを追加され、新刊書の図書情報も得られる
・探している図書の情報がある程度分かっている時には「一致検索」。(従来のWebcat同様多言語対応)
・テーマに関する日本語図書・英語図書を探すには「連想検索」、新聞記事や論文の抄録なども入力して検索できる。

収録データについて
・Webcatデータベース(図書:約800万件、雑誌:約29万件)
・「BOOK」データベース(約97万件)
・Nielsen Book Data(約480万件)

KAKEN(カケン)
・文部科学省および日本学術振興会が交付する科学研究費補助金によって行なわれた研究に関して、当初採択時のテーマ(採択課題)と研究成果の概要を収録している。
・研究課題ごとに採択課題、実績報告、成果概要を統合しまた複数年にわたる研究についても一覧できるようにしている。
・データは文部科学省の提供情報に基づいているが研究者から提出された書類によっているため、報告書本文は含まれていない。そのため本文を入手するには国立国会図書館の所蔵検索をする必要がある。(NDLの拡張検索では科研費課題番号で検索できる。)

NII-DBR
・複数の専門的なデータベースを、一括してあるいは個別に検索することができる
・学術機関や研究者が作成した、各分野の専門的なデータベースを受け入れ、公開
・収録データベース データベース数:27、総レコード件数:約150万件
・国内の学会、研究者、図書館等が作成している、さまざまな専門分野のデータベースを各データを個別にも、複数のデータベースを同時にも検索することができる

そのほかのデータベース
ReaD(研究開発支援総合ディレクトリ)
・産官学連携、研究成果の活用、および研究開発の促進に資することが目的
・国内の大学・公的研究機関等に関する機関情報、研究資源情報を網羅的に収集・提供しているサイト
・キーワードやカテゴリから検索
大学Webサイト資源検索
・大学等がインターネットで公開する学術情報資源の情報及びリンク
・<JuNii:大学情報メタデータ・ポータル試験公開版>

Q&A
Q:国会図書館へ各大学の博士論文は送っているのか?
A:府立医科大学については、図書館ではわからない(学生課から寄贈しているようだ)。各大学からの寄贈により収集されているので、義務的とは言えない。

Q:学位論文の抄録は医大誌に載っているがGeNiiではそのデータも見ることができるのか?
A:GeNiiはあくまで検索ツールとしての機能を提供しているので、どのデータベースにあるかがわかるのみ。たとえばNII-DBRでは博士論文データベースがあり、そこに収録されているデータを検索し、NDLの拡張検索で所蔵検索をして全文にあたることができる。

Q:医大の学生の使用状況は?
A:研究者、医師、学生の3年生以降はPubMed(医学論文検索サイト)、医中誌が多く、この二つが中心。

発表者あとがき:GeNii については、医大での講習会を対象としたそもそもの内容は、研究者向けに科研費に係る検索ツールを紹介することを意図したものであります。
ただ、この統合検索システムは、むしろ公共図書館等でも幅広く利用できるツールとして考えられるので、今回紹介してみたわけです。



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