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学習会記録(第118回)

日時:2004年6月17日(木)
出席者:23名
内容:「七夕の紙衣と人形」出版記念ブックトーク『絵本のなかの織姫と牛飼い』
発表者:石沢 誠司(京都府立文化芸術会館)

内容:発表者は、『七夕の紙衣と人形』(ナカニシヤ出版)を出版された。
   この中でも紹介されている絵本や写真等を、教材提示装置を使用して提示しながら、レファレンス・ブックトークが行われた。

・織姫在天型の民話・・織姫が天にいて牛飼いと暮らす
 舟崎克彦・文、二俣英五郎・絵『たなばたものがたり』教育画劇 平成13年

・織姫飛来型の民話・・織姫が天から降りてきて牛飼いと出会う
 岩崎京子・文、鈴木まもる・絵『たなばた』フレーベル館 昭和59年
織姫と牛飼い
 大川悦生・作、石倉欽二・絵『たなばたむかし』ポプラ社 昭和54年
    織姫は「七夕」、牛飼いは「犬飼い」
 谷真介・文、赤坂三好・絵『天人にょうぼう』佼正会出版社 平成3年
    織姫は「天女」、牛飼いは「木こり」
 たけざきゆうひ・文、原ゆたか・絵『たなばたひめ』フレーベル館 昭和54年
    織姫は「七夕」、牛飼いは「焙烙売り」
 吉村淑甫・文、赤坂三好・絵『たなばたてんにょ』小峰書店 昭和53年
    織姫は「七夕」、牛飼いは「土佐の狩人・小次郎」

・織姫飛来型の中国民話
 君島久子・再話、初山滋・画『たなばた』福音館書店 昭和51年

・結末を七夕伝説にした絵本
 田辺聖子『お伽草子 たなばた物語』集英社 昭和57年
室町時代の「天稚彦絵巻」に口語訳をつけたもの。
 住井すゑ・文、滝平二郎・きり絵『たなばたさま』河出書房新社 昭和57年

<七夕の民話が表すもの>
 ちょうど七月七日頃、天の川がよく見え、その両側に二つの星がキラキラとよく見える。なぜこの二つの星が離れているのかという物語が考えられた。
 日本の七夕民話は、牛飼い(牽牛)にあたる男性の職業が、牛飼いのほか、犬飼い、焙烙売り、木こりなどさまざまである。それに比べ、織姫はほとんどが機織りを仕事にしている。
 中国六朝時代の「荊楚歳時記」(六世紀中頃)に、七月七日に行われた祭礼について書かれている。この日の夜になると、女性たちは針に糸を通し、庭の中で酒や瓜を供え、星空の下で祈った。七夕の行事は、古代から女性たちが中心の祭礼であった。

<「七夕」は、なぜ「たなばた」と読むのか>
七夕という文字は、「七日の夕」を略したもので、読み方は、文字通りだと「しちせき」「しっせき」となる。なぜ「たなばた」と読むかには諸説あるが、「たなばた」というのは「棚機」であると考えられる。
 七夕は、機織りと非常に関係の深い祭礼である。「瓜と龍蛇(福音館書店)」によれば、タナバタとは機織りの機械を指す。また、5〜6世紀頃日本に伝えられた絹織物を織るための機は、棚のような部分を持っていた。

<七夕の行事に使用された紙衣>
 最近、正倉院に、七夕の儀式に用いられた針や糸などの品々が遺されていることがわかった。 平安時代には、宮廷の儀式として、七夕に「乞巧奠(きっこうでん)」が行われていた。高机を据え、周囲と間に灯台を置き、瓜・茄子などの食べ物を供えて琴と琵琶を置き、糸や布などを供えた。京都の冷泉家で現在も行われている七夕乞巧奠は、平安時代の乞巧奠を彷彿とさせる。
 室町時代を経て江戸時代になると、七夕は庶民のための祭りとなり、着物が飾られるようになった。その後、子供主体の行事と変化するのに伴い、紙の衣を飾る習俗が現れた。 (その後、日本各地の紙衣、また復元された紙衣を紹介された)



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