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学習会記録(第116回)

日時: 2004年4月15日(木)
出席者:15名
内容:「全国図書館大会参加報告」
発表者:是住 久美子(京都府立図書館)

前回の補足:「国会図書館の受入基準」および「日本全国書誌に掲載される資料」について補足があった。


2003年11月27日・28日と静岡市で開催された平成15年度(第89回)全国図書館大会に参加したので、その内容について発表する。

 1日目は基調報告や対談があり、2日目に11分科会が行われた。発表者は「図書館力が地域を変える」というテーマで行なわれた、第1分科会(公立図書館)の第3分散会に参加した。
1日目:基調報告 日本図書館協会理事長 竹内氏現在の図書館を取り巻く諸問題について講演された。図書館雑誌10月号から「霞ヶ関便り」が連載されている。国の図書館政策を知ることができるので見て欲しい。

2日目:第1分科会第3分散会(内容:ビジネス支援、司書のスキルと教育)
*「東京都立中央図書館における司書教育」(東京都立中央図書館 二階健次氏)
 東京都立中央図書館では積極的にビジネス支援を行っている。ビジネス支援を行うための司書の教育の観点から発表された。
・東京都立中央図書館の来館利用者の55%はビジネスマンであり、ビジネス支援に力を入れている―「ビジネス情報コーナーの設置」「企業・業界情報リストのパスファインダーの提供」「就職・雇用コーナーの設置」「ホームページによる情報提供」など。
・東京都が東京商工会議所に委託して運営しているビジネス支援ライブラリー
 TOKYO SPRingにもレファレンス支援をしている。
・ビジネスレファレンスの特徴−具体的な情報ニーズ・企業/業界情報ニーズ・統計データニーズ・商用データベースに対するニーズ。
・現状では体系的な専門研修を実施できていないが、専門スタッフを養成するために「レファレンスの事例研究(職員間で実施 情報の共有化)」「レファレンス中級研修(職員間で実施)」「CD-ROMショートセミナー(利用者へ実施)」などを行っている。
・求められるビジネススペシャリストとは…ツールの知識+電子情報の知識+外部専門情報機関の知識+日常的レファレンス事例の記録・分析・評価+ニーズ把握・業界への知識+情報発信力。

*「ビジネス支援司書の育成」(ゲッティイメージズジャパン 豊田恭子氏)
 ビジネス支援のためのスキルと心構えについて企業図書館で働いていた経験を元に発表された。
 ビジネス支援をするために必要なことは
1.自館の主要利用者を確認する
2.サポートするためのスキル・知識・心構え
 スキル―応対するスキル(コミュニケーション能力)・調べるスキル・公開するスキル
 知識―その分野の専門知識より一般知識が重要。情報源のあたりをつける
 心構え―サービス精神・チャレンジ精神・プロ意識
3.スキルを身につけるための方法を考える

2日目:第1〜3合同分散会基調報告
*「静岡市におけるビジネス支援図書館サービス計画の事例報告」
(千葉大学文学部 竹内比呂也氏 静岡市静岡中央図書館 豊田高広氏)
 2004年秋に開館予定の御幸町伝馬町地区図書館の設立にかかわる報告があった。

Q&A 「ビジネス支援」に京都府立図書館はどのように取り組むべきかの議論からはじまり、委託問題など活発な意見交換がありました。A部分は発表者だけでなく、他の出席者の発言も混ざっています。

Q 京都府立図書館(以下府立図書館)のビジネス支援に対する取り組みは?
A 研修後の全体ミーティングで提案した。資料はある程度そろっているので、現状でもコーナーを作ることは可能と思われるが、現在は特に取り組みはないようだ。

Q ビジネス用CD-ROMとはどのような資料か?
A 企業情報・人名録など。

Q 規格類は府立図書館にはそろっているのか?
A JISなどはすべてそろってはいない。

Q 以前はそういう資料については京都商工会議所が収集していたが今はどうなっているのだろうか?資料がなければレファレンスはできないのではないか。
A 京都府中小企業総合センターに移されたのではないか。どこへ行けば見られるかは把握する必要がある。ただ、必要な資料を自館で全てそろえてから、といっていたら新たな取り組みはなかなか実現しないと思われる。

Q 現在の府立図書館の利用層およびビジネス関係レファレンスの現状は?
A 利用層はビジネスマンと定年退職者と思われる年齢層が多い。レファレンスは会社情報や、会社を興したいなど。レファレンスがあれば応じているが、図書館から発信しないと、図書館でビジネスに関するニーズに対応できると知ってもらえない。
 YAコーナーを作って中高生の利用を促進するようにコーナーを作ったり、ホームページなどで発信するのもよい方法ではないか。

Q 「資料提供」の方針が揺らがないようにしないと逆に委託が進む恐れもある。
A ビジネス支援を業者へ丸投げで委託することを企画している図書館もあるようだ。
 司書と委託の問題も深刻であり、専門性を高める必要がある。

Q 府立図書館の商用データベースにはどんなものがあるか。
A CDは一般的なもの。G-searchを有料で導入した。



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